子育てがうまくいかず、イライラしてしまうことって誰にでもありますよね。
頭ではダメとわかっていても、ついイライラ…。
そんなとき「おでかけのまえに」を読めば、子どもの気持ちに寄り添えるヒントがもらえるかもしれません。
私にはあります。
クレヨンしんちゃんの野原ひろし。
そして、この絵本「おでかけのまえに」のあやちゃんの両親です。
あやちゃんの両親は私の理想像です。
こんな両親になりたい!
「おでかけのまえに」は、読み聞かせももちろん、子育てをしている全人類に読んでもらいたいオススメ絵本です。
3児の父、よたろうです。
子どもに読み聞かせを5年以上続けています。
絵本の感想は毎日ツイッターに残しています!
そんな絵本好きの私が、特に大好きな「おでかけのまえに」を紹介します。
おでかけのまえに
おでかけのまえに
作/筒井頼子
絵/林明子
出版社/福音館書店
長さ/24ページ
発売日/1981年10月20日
今日は家族でピクニックに出かけます。
ピクニックに早く行けるように両親のお手伝いをするあやちゃん。
ところが、お手伝いは上手くいかずに…。
お出かけを楽しみにしている女の子と、子どもの気持ちを尊重する両親の姿を丁寧に描いた作品。
「おでかけのまえに」を読んで思うこと
この絵本を読んで初めに思ったのは
「あやちゃんの両親すげー!」
言葉を選ばずに言えば「あやちゃんは、悪気なく出発準備の妨害をしています」
この絵本は「あー!もう何やってるの!!」と言いたくなるシーンの連続。
ところが、あやちゃんの両親は「まあ!」とか「おやおや」とか言うだけです。
結果、おそらく出発の時間は遅れたはずですが、家族3人笑顔でピクニックに出発することができています。すごい!
あやちゃんの両親がこの2人でなかったら・・・
お弁当のシーンで「何やってるの!!」
カバンのシーンで「コラー!」
両親2人から怒られ、あやちゃんはしょんぼり
お洋服は泥だらけ
イライラする両親
怒られて半泣きのあやちゃん
出発前から疲労感
そして、険悪なムードの中ピクニックに出かけることになります
こんなピクニックは楽しいでしょうか?
最悪、ピクニックは中止になっていたかもしれません。
こうなるパターンは決して珍しくないと思います。
しかし、あやちゃん家族はで笑顔でピクニックに出発しています。
この違いはどこにあるのでしょうか?
「おでかけのまえに」の両親像
この絵本は怒りたくなったり、イライラしたりするシーンの連続です。
しかし、絵本の中で両親が怒るシーンは一度もありません。
両親の心の余裕を感じます。
でも、あやちゃんの両親だって人間です。
絵本では描かれていませんが絶対に怒りたくなっていると思います。
しかし、怒りません。
なぜでしょうか?
これは両親の性格の問題だけではないと思います。
2人は子育てに対して明確な「信念」があるのだと思います。
両親の信念
もちろん、絵本の中に「信念」なんてフレーズは出てきませんし、これは私の想像です。
あやちゃんの両親2人は、こんな信念を持っているのではないでしょうか?
- 子どもの好奇心を尊重する
- 笑顔の思い出をたくさん残す
子どもの好奇心を尊重する
あやちゃんのような「お手伝いをしたいけど空回りしちゃう時期」は誰でも経験があるのではないでしょうか。
あやちゃんの年齢は絵本に書かれていません。
年齢が書かれていないことで、世代を超えて多くの読者が共感しやすくなっています。
好奇心
「おでかけのまえに」を読むと「こんなことあるなー」と思うことの連続です。
私の家も、3歳と5歳の子から「お手伝いしたい!」と言われ逆に状況が悪化することはよくあります。
息子ちゃんも、お手伝いするね!
・・・ガシャーン!!
あれー??
でも、子どもに悪気はありません。
子どもからすれば純粋に
- お手伝いしたい
- 役に立ちたい
- 好奇心がある
という気持ちからの行動です。
物語の中盤、あやちゃんがお化粧をするシーンがあります。
ウルトラ厚化粧ですが、口紅もチークも塗るべき場所は合っています。
普段からお母さんのお化粧する姿を見ているんでしょうね。
本人に悪気はなく、そこにあるのも化粧やお母さんの行動への好奇心です。
両親の対応
あやちゃんの両親は子どもの好奇心を理解し、大切に育てています。
好奇心は探究心や積極性につながります。
興味を持ったことも「何やってるの!」「ダメ!」と言われてはせっかくの好奇心が小さく縮んでしまいます。
- まずは、やらせてみる。
- ダメなら大人が正せばいい。
あやちゃんの両親からはこんなスタンスを感じます。
もしかしたら、あやちゃんの好奇心に気づいて、両親はあえて行動を止めずにいたのかもしれません。
だとしたら器がデカすぎる・・・。
結果、あやちゃんは自由に好奇心を発揮することができています。
あやちゃんの、のびのびとした性格の土台はここにあるのかもしれませんね。
笑顔の思い出をたくさん残す
あやちゃんは結果としておでかけの準備を妨害していますが、本人にそんなつもりはありません。
あやちゃんの行動原理は主にこの2つだと思います。
- ピクニックが楽しみで仕方がない
- 両親のお手伝いをしたい
表紙の絵と、1ページの絵に注目してください。
あやちゃんは、自分でリュックに荷物を詰めてベッドの脇に置いて眠っています。
文章はありませんが、前日からピクニックの準備をしていることがわかります。
これだけでもピクニックが楽しみで仕方がないのが伝わってきますね。
ピクニック当日の朝、飛び起きてまずカーテンを開けて天気を確認します。
てるてる坊主が吊るしてあるのもピクニックを楽しみにしていた証拠です。
早く出かけたい気持ちが強すぎて、パジャマのままリュックを持っている姿も可愛いですよね。
この後の全てのシーンで、あやちゃんはリュックを肌身離さず持っています。
限られた思い出の時間
とにかくピクニックを待ち望んでいるあやちゃん。
両親も、あやちゃんとのお出かけを楽しみにしています。
家族全員そろって朝からお出かけできる日です。
- 仕事や学校、幼稚園があると、家族の休みが重なる日は限られます。
子どもが両親とニコニコ出かけてくれる時期ってどれくらいあるのでしょうか?
- 友達や恋人と出かける方が楽しいと思う日が来るかもしれません。
- 反抗期もあるかもしれません。
私が反抗期だったとき。
無理やり家族旅行に連れて行かれ、終日不機嫌で過ごした思い出があります。
今となっては猛反省していますが、当時はそんなこと考えもしませんでした。
大人になってから両親と出かける旅行と、子どもの頃に両親と出かけることは、やはり違うものです。
そう考えると、子どもと仲良くお出かけできる回数って意外と少ないと思いませんか?
そんな貴重なお出かけを不機嫌に、険悪に過ごして良いのでしょうか。
お出かけの思い出に限ったことではありません。
笑顔の思い出が多い方がいいに決まっています。
笑顔の思い出
あやちゃん家族は、出発前からこの調子なので、目的地でもトラブルやハプニングがたくさんあると思います。
でも、あやちゃんの純粋で天真爛漫な性格と、両親の心の余裕があれば大丈夫。
どんなトラブルも
- 「あらあら」
- 「こんなこともあったねー」
という素敵な思い出になるでしょう。
あやちゃんは両親のことを心から信頼しています。
転んで泥だらけになっても泣いていません。
お母さんに言えば助けてもらえるわかっているからです。
子どもが親だけを頼ってくれる時期って結構短いのかもしれません。
ちょっとくらいの失敗やトラブルは子どもが大きくなったら全て思い出です。
あやちゃんの両親は
「笑顔の思い出をたくさん残したい」
という気持ちがあるから、あやちゃんが何をしても心に余裕があるんだと思います。
こんな両親になりたい
あやちゃんは両親から愛され、あやちゃん自身も両親のことを心から信頼しています。
あやちゃん家族は私の理想の家庭です。
つい、子どもに怒ってしまったとき、イライラしてしまった時は「おでかけのまえに」を読んでいます。
子どもに読み聞かせるだけでなく、大人ひとりで読むのもオススメです。
「おでかけのまえに」を読むと本当に大切なことは何か考え、冷静になれます。
この先、子どもが成長して大きくなっても、
- こんな時期もあった
- それでも乗り越えてきた
- そして、これからも乗り越えていける
そう思わせてくれる、心の支えになっている絵本です。
いつか、子どもへの読み聞かせが必要がなくなっても、自分の手元に置いておきたい絵本。
ぜひ、一度読んでみてください。
今週末の大切なおでかけ。
全力で楽しみたいと思います。
いってきます!
よたろう